「花」と言えば、何の花?

2021/04/04

きものコラム

 古典文学には「花」という表現がよく使われます。

「ひさかたの光のどけき春の日にしずこころなく花の散るらむ」(和歌)

「人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香に匂ひける」(和歌)

このふたつの「花」は何の花だと思いますか?


この2つの歌に出てくる「花」は、違う種類の花なんですよね。
高校時代の古文の授業で習った記憶があります。

「しずこころなく花の散るらむ」は桜。








「散る」に焦点が当てられていることから、桜だと分かります。ぱっと咲いて、ぱっと散る、そのはかなさが桜が愛される理由のひとつですよね。
桜は散り際も美しくて絵になります。

「花ぞ昔の香に匂ひける」は梅。









これが梅だと断言できるのは、「香り」に触れているからです。
梅の花はとても良い香りがします。そのために桜ではないと言い切れるのです。

ちなみにネタバレすると、この歌は百人一首に収められていて、「梅の花を見て詠んだ」という作者のコメントがついています。


私は女子高校の出身なのですが、冬休みの宿題に「百人一首の暗記」がありました。
なんて昭和の女子高校らしい宿題でしょう。。

百人一首には奈良、平安の時代の歌が多いのですが、そこに登場する「花」は梅と桜が同じくらい多かったように思います。
現代で「花」と言うときには「桜」が多いように感じますが、かつては「梅か桜」だったんだなあ、と暗記しながら考えていました。

古くから日本人に愛された花、「梅」「桜」
日本の伝統である着物の柄には梅や桜が多く描かれます。
お好きな着物の中にも描かれているかもしれませんね。








晴れ着の丸昌 北千住グループ ホームページへ戻る

晴れ着の丸昌 ネットショップへ戻る