着物に見る「風景画」

2023/05/15

きものコラム

留袖や訪問着など格の高い着物は、着物全体の絵柄が一枚の絵画のように繋がっています。
これを「絵羽柄(えばがら)」と言います。

留袖や訪問着などには風景を描いた着物があります。
風景画の着物はまさに「一枚の絵」になっていて、とても印象的です。
花柄などのフェミニンな柄や、御所車などの伝統柄とは異なる個性があります。
絵画鑑賞のような目で見てみましょう。




油絵のようなタッチで描かれた色鮮やかな山々と塔。
遠くのものを小さく、近くのものを大きく描く遠近法を取り入れていて西洋的です。
オレンジとグリーン、ピンクとブルー、色の対比が美しいですね。反対の色味が互いの色を引き立てあって、写真映りが良く見えます。
オレンジの木と白い 雲のボカシが斜めにずれていくように配置されている柄は、着ている人をすらりと見せる効果があります。絵画のような着物ですが、着用することを踏まえてデザインされていることがよく分かります。













こちらは風景画でも日本画のような雰囲気です。
遠近法は用いずに同じような大きさに植物を描いていますが、遠くには樹木、近くには草花を配置することで「風景」を感じさせます。
柄の中に生地の黒い部分をところどころに散らすことで「抜け感」が生まれています。この「抜け感」が柄に「近く見える部分」と「遠く見える部分」を作り、「遠近感」につながっています。
西洋風の油絵とは風景の描き方へのアプローチが違うのがよく分かります。

着物なのですが、「絵画」として語ることが出来るというのが、風景を描いた着物の魅力です。絵画好きな方はぜひ、着物を広げたところを見て楽しんでくださいね。




晴れ着の丸昌 北千住グループ ホームページへ戻る

晴れ着の丸昌 ネットショップへ戻る